おつかれ山です、マッシュです。
山に泊まるときに必ず必要なのがシュラフ(寝袋)。
山小屋泊なら不要なこともありますが、テント泊登山なら必須です。
「夏は暑いからシュラフはいらないのでは?」と思う人もいるかもですが、それはとても危険です。
標高の高い山では夏でも夜間は10℃を下回ることがあり、保温対策を怠ると寒さで眠れず体調を崩すリスクもあります。
そんな環境下で快適に眠るには、保温性・軽量性・収納性のバランスが取れたシュラフ選びが重要!

しかし登山泊の初心者の場合、シュラフ選びに迷う人が多く、快適温度と限界温度の見極めが難しいものです。
そこで本記事では、僕の実体験をもとに、夏山登山に最適なシュラフ5選と、失敗しない選び方のポイントをわかりやすく紹介します。
初心者でも安心して選べる内容になっているので、ぜひ最後まで読んでください。
登山で使うシュラフの選び方
登山泊では気温や荷物に合わせた適切なシュラフ選びが欠かせません。
装備は軽いに越したことはありませんが、保温性や防水性も犠牲にしたくないもの。
夏山でも標高3,000mの高山では夜間・早朝の冷え込みが厳しく、結露によってシュラフが濡れることもあります。
ここでは登山向けに重視すべき5つのポイントを解説します。
対応温度は「快適温度」を基準にする(夏山用なら10℃前後)

シュラフのスペックには「快適温度」と「下限温度」の2種類がよく記載されていますが、登山では快適温度を目安に選ぶのが基本。
快適温度とは「寒さを感じずにリラックスして眠れる気温」のこと。
夏山でも標高が高くなると、夜は10℃を下回ることもあり、思った以上に冷え込むことも。
快適温度10℃前後のモデルなら、北アルプス・南アルプスなど標高の高いエリアでも安心して眠れます。
寒さの感じ方は人によって違うので、自分が寒がりだと感じるなら、少し余裕を見ておくと安心です。
下限温度だけを見て選ぶと、「寒くて寝られなかった…」なんてことになりかねません。
夏山なら快適温度10℃前後を基準にシュラフ選びをしましょう。
中綿の素材をチェック(登山用ならダウンが◎)

シュラフの中綿素材には「ダウン」と「化繊(化学繊維)」がありますが、登山で使うならダウンが圧倒的におすすめ。
理由はシンプルで、とにかく軽くて温かいから。
収納もコンパクトにできるので、荷物の多い登山泊でもザックにすっきり収まります。
同じ保温力でも化繊シュラフと比べて、ダウンは半分近いサイズになることも。
ただし、ダウンは水に弱いという欠点もありますが、最近では撥水加工されたダウンや、防水性の高い表地を使ったモデルも増えてきています。
軽さ・温かさ・収納性のバランスを重視するなら、まずダウンを検討してみましょう。
ダウン・化繊、それぞれのメリット・デメリット表を作ったので参考にしてください。
重量と収納サイズをチェック(ダウンなら軽くて小さくなる)

登山泊では、できるだけ装備を軽く、コンパクトにまとめることが基本。
重くてかさばるシュラフは、リュック内の大部分を占めるので、テント泊登山などの場合は軽量・小型のモデルが圧倒的に有利です。
その点で優れているのがダウン素材で、温かいのに軽く、しっかり圧縮すれば驚くほど小さくなります。
たとえば、今回紹介するシュラフの中でも最軽量なのがシートゥーサミットのスパーク7C。
なんと重さはわずか363g、収納サイズも縦9×横12.5×高さ23cmと超コンパクト。
ダウンを使ったシュラフでもモデルによって収納サイズや重量には差があるので、購入前にしっかりチェックしておくのがポイントです。
荷物が軽くなると、体力消耗しにくくなり行動の幅が広がります。
快適に登山を楽しむなら、「軽さ」と「小ささ」はしっかりこだわりましょう。
シュラフの形状をチェック(登山用ならマミー型が◎)


シュラフの形状には「マミー型」と「封筒型」がありますが、登山で使うなら基本はマミー型がおすすめです。
マミー型は体にフィットする形状で、空気の無駄なスペースが少なく、効率よく体温を保てるのが特徴。
中綿の量を抑えても保温力をキープできるため、結果的に軽量コンパクトなモデルが多くなります。
一方の封筒型は、寝返りしやすく快適ではあるものの、そのぶん熱が逃げやすく、収納サイズも大きくかさばります。
初めてマミー型のシュラフで寝たときは窮屈さが気になってよく寝れなかったことを覚えていますが、何回か寝るとすぐに慣れるので今ではまったく気になりません。
夜の冷え込みをしのぐには、体を包み込んでくれるマミー型が頼れる存在。
登山では定番の形です。
表地の防水性能をチェック(防水ならシュラフカバー不要)

結露や湿気からシュラフを守るには、表地の防水性が意外と重要です。
テント内は一晩過ごすだけで結露が発生し、シュラフが濡れることも少なくありません。
シュラフが濡れると保温力がガクッと落ちるため、表地に防水性があるモデルを選んでおくと安心です。
最近では、撥水加工されたダウンと防水シェルを組み合わせたモデルが増えてきており、軽量さと防水性を両立した製品も豊富。
たとえば、ナンガの「オーロラテックスライト350DX」は、独自開発の防水透湿素材である「オーロラテックス」が水をしっかり弾きつつ、内側の湿気を放出するので、ムレにくく快適。
防水性能が高いため、シュラフカバーを使わなくてもOKな心強いモデルです。
注意点として、防水性能があっても表地が厚いと重くなってしまうので、シュラフ全体の重量もチェックしながら選びましょう。
夏山登山におすすめのシュラフ5選

ここからは、夏山登山にぴったりの軽量コンパクトなシュラフを5つ厳選してご紹介します。
いずれも中綿はダウンを使用、シェル素材は撥水加工が施されています。
想定される使用状況は、「標高3,000m級の夏山(7月〜9月)」に設定しました。
どれも登山初心者から経験者まで安心して使えるモデルばかりなので、この中からお気に入りのシュラフを見つけてください。
製品名 | 重量 | 収納サイズ | 温度域 | シェル | 中綿 |
---|---|---|---|---|---|
シートゥサミット スパーク7C | 363g | 9×12.5×23cm | 快適=11℃ 下限=7℃ | 10Dナイロン | 850+FP撥水ダウン |
イスカ エアドライト290 | 560g | 14×24cm | 快適=記載なし 下限=-1℃ | 15Dナイロン | 770FP撥水ダウン |
ナンガ オーロラテックスライト350DX | 730g | 13×25cm | 快適=5℃ 下限=0℃ | 15Dオーロラテックス 15Dナイロン | 760FP撥水ダウン |
タケモ スリーピングバッグ3 | 730g | 15×28cm | 快適=記載なし 下限=2℃ | 20Dポリエステル | 750FPダウン |
ネイチャーハイク CW400 | 910g | 16×35cm | 快適=5℃ 下限=0℃ | 20Dナイロン | 650FP撥水ダウン |
シートゥサミット スパーク7C

シートゥサミットの「スパーク7C」は、とにかく軽さとコンパクトさを重視したい人におすすめ。
このモデルは、今回紹介する中でも最軽量のシュラフで、重さわずか363g。
収納サイズも縦9×横12.5×高さ23cmと、手のひらサイズ並みに小さくまとまります。
中綿には撥水加工が施された「850+FPウルトラドライプレミアムグースダウン」を使用。
シェル素材も「撥水10デニールナイロン製」が使われており、中綿とシェルの両方が濡れに強いシュラフです。

「フロントドラフトカラー」で首元から冷気の侵入をしっかり防ぎ、薄手でもしっかりとした保温性を確保しています。
温度域(快適温度11℃、下限温度7℃)は夏山登山に十分対応できるスペックを持っており、テント泊初心者からUL志向の登山者にぴったりな一枚です。
とにかく軽さ重視ならこのモデルで間違いなし!
イスカ エアドライト290

夏山だけでなく、6月から10月上旬までをひとつのシュラフでカバーしたいなら、「エアドライト290」はかなりおすすめです。
中綿には770FPの撥水ダックダウンを採用。
イスカのシュラフの中で最も濡れに強いモデルです。
テント内の結露でシュラフが濡れても保温力が落ちる心配はありません。
下限温度は-1℃で、公式HPでは「夏のアルプスや春秋の低山テント泊」を想定したモデルと紹介されています。
重さは560g、収納サイズも14×24cmとコンパクトで、持ち運びのしやすさも魅力です。

構造面では、胸側と足側で異なる設計を採用し、保温効率を最大限に引き出しています。
特に足元にはダウンを多めに配置し、逆台形の立体構造で足の形にフィット。
冷えやすい足先までしっかり温かく保ってくれます。
標高2,000m前後のテント泊や避難小屋泊がメインで、そこまでの保温性能が必要ない場合は、「エアドライト190」(下限温度7℃・重量415g)もアリ。
より軽量で、夏山専用として使いやすいモデルです。
ナンガ オーロラテックスライト 350DX

ナンガの「オーロラテックスライト350DX」は、防水性を重視したい人にぴったりのシュラフです。
このモデルの最大の特徴は、ナンガ独自の防水透湿素材「オーロラテックスライト」を採用している点。
この素材は防水性能はもちろんのこと、透湿性能にも優れており、シュラフ内部を蒸れを防ぎ快適な睡眠環境を保ってくれます。
中綿には750FPスパニッシュダックダウンを使用。
快適温度5℃・下限温度0℃なので、3000m級のアルプスでは夏山だけでなく、秋口でも安心できる保温力を備えています。

ファスナーに沿ってドラフトチューブを設けることで、冷気の侵入をしっかり防ぎ、保温性を高めています。
顔まわりのドローコードを調整することで、熱を逃さず、首元からの冷えも防いでくれます。
重量は730gとやや重めですが、その分タフで安心感のある一枚です。
タケモ スリーピングバッグ3

コスパ重視でしっかり使えるダウンシュラフを探しているなら、タケモの「スリーピングバッグ3」がおすすめ。
中綿には750FPのホワイトダックダウンを約300g封入。
下限温度は2℃で、「春先から夏の高山、秋口から初冬の低山」での使用が想定されています。
重さは約730gで、収納サイズは15×28cmと比較的コンパクト。
シェルには撥水加工された20デニールのポリエステルリップストップを使用し、軽さと耐久性のバランスも良好です。

シングルドラフトチューブとネックチューブにより、ファスナー横や首元からの冷気侵入をしっかりブロック。
内部の温まった空気を逃さず保温性を高めてくれます。
中綿に撥水加工は施されていませんが、この価格帯でこの性能なら、テント泊初心者の一枚目としても安心しておすすめできるモデルです。
ネイチャーハイク CW400

寝心地とコスパを重視するなら、ネイチャーハイクの「CW400」はかなり魅力的な選択肢です。
中綿には650FPのダックダウンを400g使用し、快適温度5℃、下限温度0℃というスペック。
夏のテント泊登山だけでなく、秋口に十分対応できる性能を備えています。
形状は足元が広めの封筒型で、寝返りがしやすく窮屈感がないのが特徴。
暑いときにはファスナーを開いてブランケットのように使ったり、足元だけ開放して温度調整することも可能です。
封筒型なので収納サイズはやや大きめですが、付属の専用コンプレッションバッグを使えば、ある程度小さく圧縮できます。
これだけの機能を備えていながら、価格はなんと1万円台。
コストパフォーマンスに優れ、初心者にも心強い一枚です。
シュラフと一緒に揃えたい「シートゥサミット Evacドライバッグ」


シートゥサミットの「Evacドライバッグ」は、防水性能に優れた軽量ドライバッグです。
シュラフや衣類、貴重品を濡れからしっかり守るため、縦走登山に最適。
丈夫な素材と止水ジッパーで安心の防水性を確保しながら、コンパクトに収納可能です。
空気を抜けばリュック内の形にフィットさせられるため、リュックの中でもかさばらず使いやすいアイテムです。
シュラフを湿気や結露から守る必携アイテムとしておすすめします。
夏山登山におすすめのシュラフ まとめ

夏山登山では夜間の冷え込みに備え、保温性・軽さ・収納性・防水性能のバランスを考えたシュラフ選びが大切です。
今回紹介した5モデルは、それぞれの特徴や用途に合わせて選べるラインナップとなっています。
さらに、シュラフだけでなくダウンジャケットやダウンパンツなどの防寒着を組み合わせることで、より長いシーズンで使用可能です。
特に春先や秋口の登山でも活躍するため、装備全体で体温調整を考えることが重要です。
自分の登山スタイルや使う時期に合わせて適切なシュラフを選び、安心で快適な夏山登山を楽しんでください。